不安症群について

お子さまは誰でも何らかの不安を抱くもので、成長過程ではよく聞かれる訴えです。たとえば幼いときは暗闇や怪物を怖がり、成長すると人前に立ったり人前で話したりすることに不安を覚えるものです。これらの恐怖や不安は病気というようなものではありません。しかし、不安感が日常生活に支障をきたすほどであったり、強い苦痛を感じたり、長期化しているようであれば、不安症と診断されます。
お子さまの不安症としてよくみられるものとして、以下のようなものがあります。
- 【分離不安症】
- 分離不安症は、幼いお子さまに多く見られ、親、とくに母親や、特定の大人から離れることに極端な不安を感じるのが特徴です。具体的には、登園や登校時に不安が強くなり、泣いたり、体調不良を訴えたりすることがあります。疾患について知り、家族が安定することが重要です。
- 【選択性緘黙】
- 選択性緘黙は話を理解することのできる小児が、学校や人前といった社会的状況下で1カ月以上にわたって話すことを拒むことが特徴です。基本的には予後は悪くないですが、他の不安症や、うつ病を発症することもあるため、併存に注意しながら経過をみていきます。
- 【限局性恐怖症】
- 限局性恐怖症は、特定の対象や状況に対して極端な恐怖を感じる状態です。幼少期から発症することが多く、動物、嵐、暗闇、高所、閉所、注射などが代表的な例で、恐怖の対象を避けるために生活が制限されることもあります。
- 【社交不安症】
- 社交不安症は、対人関係や人前に出る場面で強い不安を感じるもので、学校や友人関係にも影響を及ぼします。発表や自己紹介の場面で極度に緊張し、人前での失敗を恐れて避ける傾向が見られるようになります。
こうした不安症群は、成長過程で一時的に見られることもありますが、継続する場合はお気軽に受診ください。治療法としては、精神療法、心理士との認知行動療法や薬物療法が一般的に用いられます。